17のとしに
確実に今時が止まった。初は普段半分しか開いていない目をまっすぐに開いて、じっと奈央を見つめていた。奈央の嗚咽が漏れた瞬間から時が動き始めた。
「ありがとう、ありがとう」
「いいえ」
俺もまなみも誠也も見ていた。ただただ、奈央と初が一番救われたかったんだろうな、紙を丸めながら思っていた。相変わらず汚い文字だなぁ。それでも俺の口角は上がっていた。
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