嵐王


昨日もバイクに乗ったけど、懐かしい。

『朱雀』に居た時も
後ろに乗っけて貰ってたな…。


私を怖がらせない為にゆっくり走ってくれる。
もっと、スピード出しても平気なのに。

その優しさが擽(くすぐ)ったい。


『紫苑…皆もありがとう……。』


私の声は風の音で聞こえない。


皆が信じてくれて、
こうやって守ろうとしてくれて嬉しい。


『でもね、私のせいで皆を巻き込みたくない。』


幾ら皆が私の潔白を主張しても
一度でも裏切り者と決め付けられたら、

きっと…誰も聞こうとしない。


< 135 / 523 >

この作品をシェア

pagetop