嵐王
昨日もバイクに乗ったけど、懐かしい。
『朱雀』に居た時も
後ろに乗っけて貰ってたな…。
私を怖がらせない為にゆっくり走ってくれる。
もっと、スピード出しても平気なのに。
その優しさが擽(くすぐ)ったい。
『紫苑…皆もありがとう……。』
私の声は風の音で聞こえない。
皆が信じてくれて、
こうやって守ろうとしてくれて嬉しい。
『でもね、私のせいで皆を巻き込みたくない。』
幾ら皆が私の潔白を主張しても
一度でも裏切り者と決め付けられたら、
きっと…誰も聞こうとしない。