嵐王


皆、側に居てくれたんだ…。


嬉しさと複雑な感情が混ざって
どうして良いのか分からない。


パサ…


『…紫苑の手帳?』


開いたままの手帳を手に取る。


【朱音さんから信歩へ

貴女の事を無断で調べた事本当にごめんなさいね。

深い傷を背負っているのが分かって
居ても立ってもいられなくなったの。

その傷が大き過ぎて
逃げたくなる気持ちは私にも分かる。

けれど、決して目を逸らさないで。

貴女に非がないと信じる人は近くに居るから
堂々と前を向きなさい。】


朱音さん…。


そのページには、
朱音さんの優しさと厳しさが綴られていた。


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