嵐王
ペラ…
次のページを捲ると、文字が散乱していた。
【信歩が姫にならないのは
『朱雀』を思い出すからだって分かってる。】
これは、紫苑の気持ち…?
【頑なに『暴走族なんか嫌い』って言うのは
それ程『朱雀』が好きだったって事も。】
うん、うん…『朱雀』が皆が好きだった…ッ…。
【信歩が本当に信じて欲しかったのは
『朱雀』だけだったって事も。】
ポタ…
心の奥に閉まってた気持ちを
紫苑が一つ一つ掬(すく)い上げてくれる。
それだけで涙が出た。