嵐王


捺央side


俺が大声を出した事が意外だったのか
表情が固まっている。


「…ねぇ、俺が言った事覚えてる?」


"信歩の感情って読めないんだよね。"


「でも、もう一人居るんだよね?
肝心な時に読めない人が目の前に。

無意識なのか知んないけどさぁ〜。」


手帳をパラパラと捲(めく)る。


「あの時からなんだよね。
紫苑の両親を俺が殺した時から…。」


本当は居心地の良い今を壊したくなかった。
でも、もう逃げないよ。


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