嵐王
『アンタって馬鹿?』
「……今、なんて言った?」
私の言葉に瑠愛の顔が引き攣(つ)る。
『確かに追い出された時は
訳分かんなくて『朱雀』を…皆を恨んだ。
傷まで残されて……。』
腰にある傷跡を摩(さす)る。
『でも、棗達が『朱雀』を自分達を犠牲にして
私を守ってたらもっと恨んだわよッ!!』
もし、棗達に瑠愛の事を聞いても
私には何も出来なかった。
皆が傷付いていくのを黙って見るだけ。
『そうなる位なら喜んで追放を選ぶ。』
棗、貴方の判断は正しかった。
だから…そんな顔しないで。