嵐王
『…ハァ……撒けたかな?』
後ろを振り向いて確認する。
私が歩けば歩いて、走れば走って来る。
なんで、知りもしない相手と
鬼ごっこしなきゃなんないの!?
すっかり暗くなった空を見上げて
小さくため息をする。
外灯があるから明るくて道も見えるから
そこまで怖くない。
『帰ろー…え?』
ジャリ…
歩こうとしたら背後に誰か居た。
フードを深く被っていて顔は見えない。
只…不気味で震える足で反対に逃げた。