嵐王
『なんで!?いつも撒けるのに!!』
道を読まれて先回りされた?
尾行してるのは複数?
上手く誘導されてた?
もしかして、最初から撒けてなかった…??
ゾワッ!
混乱する頭に悪い想像を思い浮かべる。
いつもと違う展開に湧き上がるのは
途轍もない恐怖。
そのせいで足がどう動いているかも
今の私には分からない。
ドンッ!
『きゃっ!』
曲がり角を曲がろうとしたら何かにぶつかった。
何、もしかして…仲間!?
慌てて上を見上げると、
『…し、おん……?』
心配気に手を差し出す紫苑が居た。