嵐王
周りに意識を集中させて夜道を歩く。
信歩は無意識に俺の袖を摘んで隣を歩き、
物音がする度に怯えていた。
こんな時に浮かれるのって馬鹿だよな…。
『紫苑は、どうしてあそこに居たの…?』
【なんとなく。】
『尾行されてるかもしれない』って
聞いてほっとける訳がない。
別に皆で来れば捕まえれた可能性もあったけど
アイツらは信歩を無実だと信じきれてない。
『そっか…。』
妙な気配も感じないまま
信歩の住むアパートに着いた。
『送ってくれてありがと。
これで二度目だね?』
無理に笑顔を作る信歩を見ていられなかった
俺はもう一度禁句を見せた。
【信歩、姫にならないか?】
紫苑sideEND