ここからはじまる恋
②
桜の季節が過ぎ、初夏を思わせる陽射しに包まれる。三日間のゴールデンウィークは、退屈だったわりにはあっという間に終わってしまった。
そんな、金曜日の夜。今夜は、家族揃っての外食。月に一回、お父さんが企画してくれる。さすがの由良も、この日は欠席しない。
今夜のごちそうは、和食だそうで。お父さんは最近、‘‘B.C. square TOKYO’’がお気に入りなのか、そこの店をチョイスする。
まぁ、歩いて行ける距離だし、ね? まさか、余裕があるふうにみせて、ライバル歯科医院を気にしているのだろうか。
「この店は、とてもおいしいよ」
お父さんが足を止めた。元カレと来た、天ぷら専門店だし……。
高級な雰囲気漂う店内は、やっぱり落ち着かない。でも、その店内に見合った、おいしい天ぷらたちが、私の胃袋を満たしてくれる。
「紗良、明日なにか予定はあるのか?」
「ひとり身だし、なにもないよ」
お父さんに突然、聞かれたものだから、素直に答えてしまった。
「そうか、ひとり身か……」
緩む頬を隠しもしない、お父さん。うれしいような、哀しいような複雑な気分。
「明日、なにかあるの?」
そんな、金曜日の夜。今夜は、家族揃っての外食。月に一回、お父さんが企画してくれる。さすがの由良も、この日は欠席しない。
今夜のごちそうは、和食だそうで。お父さんは最近、‘‘B.C. square TOKYO’’がお気に入りなのか、そこの店をチョイスする。
まぁ、歩いて行ける距離だし、ね? まさか、余裕があるふうにみせて、ライバル歯科医院を気にしているのだろうか。
「この店は、とてもおいしいよ」
お父さんが足を止めた。元カレと来た、天ぷら専門店だし……。
高級な雰囲気漂う店内は、やっぱり落ち着かない。でも、その店内に見合った、おいしい天ぷらたちが、私の胃袋を満たしてくれる。
「紗良、明日なにか予定はあるのか?」
「ひとり身だし、なにもないよ」
お父さんに突然、聞かれたものだから、素直に答えてしまった。
「そうか、ひとり身か……」
緩む頬を隠しもしない、お父さん。うれしいような、哀しいような複雑な気分。
「明日、なにかあるの?」