ここからはじまる恋
③
「紗良!」
お父さんが、家の前で待ちかまえていた。そんなにライバル歯科医院が気になるのかな?
「ただいま」
「おかえり。家で母さんが昼ごはんを作って待っているから」
『おかえりなさい』
先ほどの甘い声が耳に響くと、頰が緩んだ。
一階が歯科医院、二階が自宅の我が家に入ると、腹の虫が踊り出すような、おいしいにおいがした。
今日のお昼は、オムライスだ。いくつになってもお母さんのオムライスは変わらずおいしい。
「どうだった?」
お父さんが珍しく、落ち着きなく聞いてきた。思わず、笑みが漏れる。
「紗良が笑うくらい、素敵な先生だったのか?」
「えっ? 先生は……無愛想で、なんだか印象がよくなかったな」
私の答えに、ふたりが顔を見合わせた。
「じゃあ、その笑顔の理由は?」
今度は、お母さんからの質問。
「ふふっ……受付の男性が……すっごく素敵で……」
「受付の男性?」
お父さんが眉をひそめた。
「ああ、ごめん、ごめん。私、スパイで行ったのに……受付の男性に心を奪われちゃった」
緩む頬を隠しもしないで、打ち明けた。
「そんなに素敵な人なの?」
お母さんは笑顔で、お父さんは少し不機嫌な顔をした。
「もう、素敵もなにも! ものすごく私のタイプの男性だったの!」
お父さんが、家の前で待ちかまえていた。そんなにライバル歯科医院が気になるのかな?
「ただいま」
「おかえり。家で母さんが昼ごはんを作って待っているから」
『おかえりなさい』
先ほどの甘い声が耳に響くと、頰が緩んだ。
一階が歯科医院、二階が自宅の我が家に入ると、腹の虫が踊り出すような、おいしいにおいがした。
今日のお昼は、オムライスだ。いくつになってもお母さんのオムライスは変わらずおいしい。
「どうだった?」
お父さんが珍しく、落ち着きなく聞いてきた。思わず、笑みが漏れる。
「紗良が笑うくらい、素敵な先生だったのか?」
「えっ? 先生は……無愛想で、なんだか印象がよくなかったな」
私の答えに、ふたりが顔を見合わせた。
「じゃあ、その笑顔の理由は?」
今度は、お母さんからの質問。
「ふふっ……受付の男性が……すっごく素敵で……」
「受付の男性?」
お父さんが眉をひそめた。
「ああ、ごめん、ごめん。私、スパイで行ったのに……受付の男性に心を奪われちゃった」
緩む頬を隠しもしないで、打ち明けた。
「そんなに素敵な人なの?」
お母さんは笑顔で、お父さんは少し不機嫌な顔をした。
「もう、素敵もなにも! ものすごく私のタイプの男性だったの!」