ここからはじまる恋

それにしても、このBar、イケメン揃いだなぁ。

マスターは渋い声で、銀髪がセクシー。お父さんと同年代くらいの男性だけれど、恋人にしてもらいたいくらい素敵だ。

空さん以外のバーテンダーも、タイプは違えど、例外なくイケメンだわ。

「お待たせいたしました」

二杯目は、色鮮やかなフルーツでデコレーションされた、まるで南国を思わせるようなカクテル。

「トロピカルカクテルの女王、マイタイです」

「マイタイ……」

「ポリネシア語のタヒチ方言で『最高』と言う意味です」

『最高』かぁ……。今の私みたい! そう思うと自然と頬が緩む私に、空さんが近づいた。ドキドキする間もなく、口を開く。

「あなたと一緒に過ごせるこの夜は、最高です」

えっ!? 空さんも、私と同じ思いなの? 私にだけしか届かないような小さな声でささやかれると、胸の鼓動が急にスピードをあげるから、苦しくなるよ……。

目を丸くして、空さんをみつめると、いたずらな笑みを浮かべた。

これじゃあ、心臓がいくらあっても足りない! 私、生きて帰ることができるのかな? どうにかなってしまいそう。

それくらい、彼の言動ひとつひとつが、私を夢中にさせていた。

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