ここからはじまる恋
「おいしい」

甘くて、口当たりのよいカクテルが、私を南国の楽園へと誘う。自然と頬が緩むと、空さんも笑顔を見せた。

「たまには、こんな雰囲気の店で飲むのも、悪くはないでしょう?」

落ち着いた雰囲気の店内。窓の外には都会の夜景。カクテルを飲む前はなんだか落ち着かなかったけれど、アルコールが身体を充たしていくと、店内の雰囲気に溶け込んでいくような、なんだか不思議な気分になった。

おいしいカクテルと、空さんの笑顔。他にはなにもいらない。

「すごく、すごくいい気分です!」

鏡を見なくても、頬が火照っているのがわかる。頬を赤く染めながら、空さんをみつめると、優しい笑みを浮かべながら、みつめ返された。

言葉なんて、いらない。この時間が、長く続きますように……と願いながら、カクテルを口にした。



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