ここからはじまる恋
地下五階、地上五十五階。いくつかの企業にレストラン、フィットネスジム、クリニック、それからそれから……。屋上にはヘリポート、会員制のバーとか、私には縁遠いものまである。
彼の勤める会社がここにあるから、ときどき、レストランには連れて行ってもらっているけれど……。
この、なんとも言えない高級感……。こんな場所で働くなんて、私には無理かも。
「和食でもいいかな?」
「はい!」
急に聞かれたものだから、背筋をピンとして答える私。和食と言っても、街にあるような、定食屋さんではない。
天ぷら専門店の暖簾をくぐる、彼。ランチ限定で天丼があるらしい。夜はさぞかしお高い店なんだろう。天丼を食べるような雰囲気の店ではない。店員の女性はみな着物を着ていて、板前さんたちは職人の香りが漂う。
「お待たせいたしました」
運ばれてきた天丼は、ごま油の香ばしい香り。主役の大きなえびに、脇を固める旬の野菜たち。
「おいしそう」
自然とこぼれる笑みに、やっと彼の頰が緩んだ。
彼の勤める会社がここにあるから、ときどき、レストランには連れて行ってもらっているけれど……。
この、なんとも言えない高級感……。こんな場所で働くなんて、私には無理かも。
「和食でもいいかな?」
「はい!」
急に聞かれたものだから、背筋をピンとして答える私。和食と言っても、街にあるような、定食屋さんではない。
天ぷら専門店の暖簾をくぐる、彼。ランチ限定で天丼があるらしい。夜はさぞかしお高い店なんだろう。天丼を食べるような雰囲気の店ではない。店員の女性はみな着物を着ていて、板前さんたちは職人の香りが漂う。
「お待たせいたしました」
運ばれてきた天丼は、ごま油の香ばしい香り。主役の大きなえびに、脇を固める旬の野菜たち。
「おいしそう」
自然とこぼれる笑みに、やっと彼の頰が緩んだ。