ここからはじまる恋
②
日曜日の夜、十八時の少し前。待ち合わせ場所である、五十四階のBarへと向かう。エレベーターに乗ると、手を握られたことを思い出し、頬が熱くなって困った。
五十四階に到着し、大きなエレベーターがゆっくりと扉を開けると、ますます高鳴る胸の鼓動。
空さんも、私と同じ気持ちだったらいいな、なんて……。
「紗良さん」
私を呼ぶ、甘くて優しい声に、自然と頬が緩んだ。空さんについて行くと、定休日の札のかかったBarの扉を、空さんが開いた。
「今日は定休日なんですが、紗良さんをもてなすために開けました」
私のために、Barを貸し切り!? 空さんも、都会の夜景も、私がひとり占めできるだなんて!
「ありがとうございます」
感激のあまり声を弾ませると、優しくエスコートをされて、カウンター席に座った。
「今日は、僕がいつも食べているまかないをごちそうしますね」
「お料理、されるんですか!?」
「まぁ、大したものではありませんが」
料理もできるだなんて! 欠点なんて、どこにも見当たらない。空さんは、完璧な王子様だ。
「奥に厨房があるので、作ってきます」
そう言うと、私にカクテルを差し出した。
「ノンアルコールですから、どうぞご心配なく」
ひと口飲むと、フルーティーな味わい。
「それ、シンデレラと言う名前の、ノンアルコールカクテルなんです」
「シンデレラ……」
「僕のシンデレラは、十二時になってもそばにいてくださいね」
カウンターに置かれた私の手を、そっと握る。どうしたらいいのかわからず、つい、うつむいてしまった。
「紗良さん、かわいい」
そのひと言を残して、空さんは厨房に入っていった。喉がカラカラになって、一気にカクテルを飲み干してしまった。頬が熱いのは、空さんと言う名前の、アルコール度数の高いカクテルのせいだ。
五十四階に到着し、大きなエレベーターがゆっくりと扉を開けると、ますます高鳴る胸の鼓動。
空さんも、私と同じ気持ちだったらいいな、なんて……。
「紗良さん」
私を呼ぶ、甘くて優しい声に、自然と頬が緩んだ。空さんについて行くと、定休日の札のかかったBarの扉を、空さんが開いた。
「今日は定休日なんですが、紗良さんをもてなすために開けました」
私のために、Barを貸し切り!? 空さんも、都会の夜景も、私がひとり占めできるだなんて!
「ありがとうございます」
感激のあまり声を弾ませると、優しくエスコートをされて、カウンター席に座った。
「今日は、僕がいつも食べているまかないをごちそうしますね」
「お料理、されるんですか!?」
「まぁ、大したものではありませんが」
料理もできるだなんて! 欠点なんて、どこにも見当たらない。空さんは、完璧な王子様だ。
「奥に厨房があるので、作ってきます」
そう言うと、私にカクテルを差し出した。
「ノンアルコールですから、どうぞご心配なく」
ひと口飲むと、フルーティーな味わい。
「それ、シンデレラと言う名前の、ノンアルコールカクテルなんです」
「シンデレラ……」
「僕のシンデレラは、十二時になってもそばにいてくださいね」
カウンターに置かれた私の手を、そっと握る。どうしたらいいのかわからず、つい、うつむいてしまった。
「紗良さん、かわいい」
そのひと言を残して、空さんは厨房に入っていった。喉がカラカラになって、一気にカクテルを飲み干してしまった。頬が熱いのは、空さんと言う名前の、アルコール度数の高いカクテルのせいだ。