ここからはじまる恋
頭の中で、なんとなく話が繋がった気はするけれど、納得のいかない自分がいた。

空さんは、優しくて、気遣いのできる人で、まさに白馬に乗った王子様。そんな人が、なんの目的で私を眠らせたのか?

あんなに素敵な人だから、私よりももっと魅力的な女性が、たくさん寄ってきて、よりどりみどりだろう。別に、私じゃなくてもいいはずだ。

そう考えると、わざわざ私を誘って眠らせたって、なんの得にもならない。

薬を盛って眠らせるなんて、サスペンスドラマの世界だわ。

考えすぎ、考えすぎ。

『食事だけなら、行きます』

空さんと、食事だけなら……大丈夫だよね? 少し警戒しながらも、やっぱり断ることはできずに、返信をした。

空さんは今ごろ、Barで仕事をしている。わかってはいるのに、返事が待ち遠しい。

ふたりで会える明日が、たまらなく待ち遠しい。たとえ、なにかしらリスクがあったとしても……。



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