ここからはじまる恋
ここからはじまる
①
こんな惨めな姿を見られた恥ずかしさ、豹変した空への恐怖心、解放された安心感……。様々な感情が、涙になって溢れた。
「弟が手荒な真似をして、すまなかった」
しゃがみ込むと、私に謝る新庄先生。彼は、悪くない。私を助けてくれたのだから……。座り込んだまま、ぶんぶんと首を横に振った。
ふぅ、と、ため息をついたかと思うと立ち上がり、新庄先生が私から離れていった。
どこに行くのだろう? 遠ざかる背中を涙目でみつめる。新庄先生は、自分の部屋の中に消えていった。
……どうしよう? エレベーターを開ける鍵がないと、ここからひとりで帰ることができないのに。
新庄先生がいないすきに、また空が姿を現したら……!?
恐怖心がジワジワと沸いてくると、慌てて立ち上がり、新庄先生の部屋の前まで走った。部屋の扉を叩こうとした瞬間、勢いよく扉が開いた。
「……なにか?」
新庄先生の手には、ペットボトル。冷えた水の入ったそれを、私に手渡した。
「よかった」
受け取ると安心して、また涙が溢れた。
「困ったお嬢さんですね」
新庄先生が相変わらずの呆れ顔で、私を部屋に入るよう促した。緊張で、私の顔が強張った。
「ご心配なく。指一本、触れませんよ」
「弟が手荒な真似をして、すまなかった」
しゃがみ込むと、私に謝る新庄先生。彼は、悪くない。私を助けてくれたのだから……。座り込んだまま、ぶんぶんと首を横に振った。
ふぅ、と、ため息をついたかと思うと立ち上がり、新庄先生が私から離れていった。
どこに行くのだろう? 遠ざかる背中を涙目でみつめる。新庄先生は、自分の部屋の中に消えていった。
……どうしよう? エレベーターを開ける鍵がないと、ここからひとりで帰ることができないのに。
新庄先生がいないすきに、また空が姿を現したら……!?
恐怖心がジワジワと沸いてくると、慌てて立ち上がり、新庄先生の部屋の前まで走った。部屋の扉を叩こうとした瞬間、勢いよく扉が開いた。
「……なにか?」
新庄先生の手には、ペットボトル。冷えた水の入ったそれを、私に手渡した。
「よかった」
受け取ると安心して、また涙が溢れた。
「困ったお嬢さんですね」
新庄先生が相変わらずの呆れ顔で、私を部屋に入るよう促した。緊張で、私の顔が強張った。
「ご心配なく。指一本、触れませんよ」