メジャースプーンをあげよう
「最初から本気なら、そもそも私が恋バナしてる時点で今みたいな態度になるはずだよ」
「…………言いたいことはそれだけ?」
「……うん」
言うが早いが上坂くんはミルクレープにフォークをぶっ刺し、大きく開けた口に無理矢理押し込んだ。
リスやハムスターの頬袋みたいになりながら喉へと流しこんでいく。
「ちょっと、あぶない」
あわてて止めようとしたときには完了の合図なのか舌でペロリと唇を舐めた。
それが妙に色っぽくてサマになっている。
こういうところが扱いに困るんだ。
そして立ち上がると、背もたれにかけてあった自分の上着と私のコートを手にレジへと向かいはじめる。
「えっちょっと!」
まだ半分残っていたティラミスを口に放り込んでから、私は後を追った。