メジャースプーンをあげよう
(っていうか今気になるのはそっちじゃなくて)
「それであの…大変失礼ですけど、改めてお名前をうかがってもよろしいですか?」
「……えっ、あ」
ぽかんとしたような顔になっていたミスター結構は我に返ったような、ハッと肩をびくつかせて私を見た。
(え、なにその顔)
(もしかして何か気に障るようなこと言ったかな…?)
右手でジャケットの胸ポケットを探り、鈍い銀に光る四角い入れ物から節だけが太い指で1枚の紙を取り出した。
一連の流れがあまりに綺麗で、つい見惚れる。
「……?」
だからその紙が私の目の前に差し出されていたことに気付くのに、少し時間がかかった。
「あ! ごめんなさい、ありがとうございます」
両手で受け取ったそれに書いてあったのは。