メジャースプーンをあげよう

「お互いに悪かった。そうしましょう」
「はい」
「……私に少し細かい所があることは否めません。仕事には正確さが大事ですから」
「そうですね。大事な事です」

(この調子だとたぶんというか絶対、少しじゃないんだろうけど)

「そちらのコーヒーはとても気に入っているので、今後も懲りずにお付き合いくださると有り難いです」
「光栄です。こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します」

 誰もいない会議室にふたりきり。
 ドアは開け放たれている。
 そんな中互いに頭を下げ合う姿は、もし他の人が通りかかったら異質だろうなと心の隅で思った。


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