メジャースプーンをあげよう

「そうなんですよー? 時々ミスター結構に応対されたコがいて、結構です結構ですすごいからってんでウチの店であだ名になったカンジ」
「……そう、なんですか」
「うん、そーなの」

 私が行くと応対してくれるのは睦月さんだ。
 いちばん最初の時みたいに、「担当の者が外しておりますのでおまちください」と言われることはあるけど毎回睦月さんが―――

(ん?)

「最初に行った時女性社員さんに「担当の者」って言われてましたけど…‥」
「あれ、そーなの?」

 だから私は最初から、コーヒーポットサービス担当は睦月さんなんだと思っていた。
 でも上坂くんの今の話だとそうでもないらしい。

(たまたまかな……?)

 キッチンにただよい始めた香ばしいコーヒーの香りに目を伏せながら、今日はどんな顔をして出迎えてくれるんだろうとぼんやり考えていた。


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