ヴァンパイアキッス
「は…!?」


背中に赤く染まった服。


苦しそうなうめき声。


「梓姫お前…まで撃たれたのか!?おい、梓姫…っ!」


『羅稀…っ。あたしは大丈夫だけど………羅稀は大丈夫?』


背中をおさえながら起き上がる梓姫。


「まぁ……」


『そっか…良かったぁ。』


安心したように肩に力が抜けポロッと涙を流す梓姫を見て俺は抱きしめた。


「悪かった…な。俺がお前を助けられなくて」


『何言ってんの、今はこうして助かったじゃん。』


「そうだな。」


『けど、ハンターたちには顔を見られたからきっとニュースになってるはず。もう、高校どころか外に出れないね』


もう完全に俺達は危ない状況ってことか。


いつ死んでもおかしくない。


「…俺、狼男だってクラスのやつらに知られても1人だったし。」


誰とも関わらずただただ1匹狼として生きていた。


敵である人間となんか親しくできるわけねぇし。


『あたしは……大切なものを失ってしまうな、…』
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