恋愛狂想曲
「また可愛くなっちゃって!!」
「お久しぶりです。」
「さっ、早くあがってあがって!!」
「おじゃまします……」
秀の家の、ラベンダーの香りがした。
懐かしい、大好きな匂い。
「しゅ~う~!!!」
「何だよ。」
秀の部屋を見上げながら叫ぶおばさんに、部屋の中から秀の返事が聞こえた。
「心優ちゃん来てるわよ~!!」
「は!?そんな嘘に騙されるわけねえし。フツー帰ってくるなら連絡入れる・・・」
そんなことを言いながら部屋を出て、階段を下りてきた秀は、あたしの顔を見て喋るのをやめた。
目を開いて、口を半分あけて、まさに驚いた顔をしていた。
あたしは思わず、
「ぷっ、変な顔。」
言ってしまった。
「おいおい、久しぶりにあった彼氏への第一声がそれ?」
「あははっ、だって本当に変な顔なんだもん。」
「ひっで~、お帰り、心優。」
フッと微笑んだ秀に、秀の言葉に、涙が零れそうになった。
ずっとずっと、会いたかった。
ずっとずっと、聞きたかった、秀の声。
やっぱり、電話じゃ全然違う。
「秀、あとでお菓子と飲み物持ってくから、部屋に入れてあげなさい。」
「うい~っす。心優、どうぞ?」
「うん、おじゃまします」