恋愛狂想曲
「彼氏、良いなあっ」
早紀があたしを見ながら言う。
「早紀は、つくらないの?」
「ん-、心優みたいな人は良いんだけど…」
「あたし?」
「うん。合う合わないっていうのがあるっていうか。」
「ふ-ん?でも良いなって思うなら欲しいんじゃない?」
「心優にとっての秀君に出逢ってない!」
そう言って、早紀はまた、いいな~ってあたしを見る。
「あ、もう時間だから行くね!!心優も頑張れ!!」
ばいばいって手を振ると、早紀は足早に校舎へ向かった。
空を見上げてみる。
この空は、秀のいる山梨にも繋がってるよね?
「-…会いたいな。」
ふと、本音がこぼれた。
駄目だね、あたし。
全然強くなれてないや。
本当は、今すぐにでも山梨に帰りたい。
秀に会いたい。
会って、抱きしめて欲しい。
-…そんなこと、言えないけど。
「は-っ。」
溜め息が白く空気に現れる。
あたしも、校舎へ向かった。