恋愛狂想曲
「・・・関根心優、B組、6番です。」
「どうぞ。」
……やっぱり人前で弾くのは、何度やっても緊張する。
―……あれ?練習の時には、弾けたのに。
指がつっかかって、きちんと弾けない。
止まれない、そんな気持ちばっかり前に出て。
・・・人生で、一番最悪な演奏かもしれない。
クラスがきまる、大切なテストなのに。
「……ありがとうございました。」
先生達の顔を見れない。
怖い、恥ずかしい。
教室をでて、しばらく立ちすくんでいると。
「心優?どうしたの?」
「……っ、早紀ぃ!!」
「えっ、ちょ、心優!?」
あたしの全てなのに。
このために、山梨から離れたのに。
何やってるんだろう。
あたし、こんなことばっかり思って、一歩も前に進めてない。
「ねえ、心優。そろそろ、良いんじゃない?」
「・・・え?」
「山梨に戻って、きちんと整理してきなよ。」
「早紀―……知ってたの?」
「みえみえ。親友なんだから、話してくれても良いじゃない。」
「……早紀っ」
ありがとう、早紀。
駄目だね、あたし。
みえみえだなんて、
やっぱりあたし、駄目だよ。