初恋に捧げる私の恋の歌
FULLMOONの溜まり場に着く。



溜まり場は海に面している工場のようなところだった。



工場はもう動いてないのかボロボロだった。




溜まり場にはもうほとんどの人が集まっており宝石箱を開けたようにキラキラと光っていた。




綺麗で、明るくて、憧れていた空間にいるようだった。




みんなが話したりバイクの点検をしたりしていた。




「綺麗」




「そうだろ、来て良かったろ」




「はい」





「座っとこう」




そう行って先輩は私を引っ張って堤防に登った。




「おいで愛生」




そう言われて登って見たら宝箱が広くなって一気に光が私の目に飛び込んで来た。




「すごい」




「やったぁ!!愛生の微笑見れた!」




いきなり先輩が叫んでえ?となる。



先輩は大きく腕を上にあげ「やった!」と叫んでいる。



先輩の行動に周りにいた暴走族の人達は興味深くこちらを見ている。




「うそぉー!柚莉先輩本当にみたのぉ?」




「見たよ!すっごい可愛かった!」




「せこいぞ!先輩!ほら、愛生!もう一回微笑んで!」




香野葉と明麗紗と凛香が集まって来てグイグイ近寄ってくる。




なんで?




私が首をかしげるとギューと抱きしめられた。




「かわいい!」





もっと意味わかんない。





抱きしめられた時、空が見えた。満月の月が出ていて綺麗だった。




星が見たい、満月が綺麗に見えるところに行きたい。




暗闇の中で星が見たくなった。





先輩と3人は今暴走族の人と話してる。




少しなら大丈夫だよね。




そう思い私は堤防を飛び越えて砂浜に降りる。




サクサクと音を立てて歩く。




ザァーと音を立てて海の水が砂浜に打ち上げられる。




このまま、海の方へ歩いて行ったらどうなるだろうか。




この、真っ暗な海に歩いて行ったらどうなるだろうか。




今は冬、寒いけどこのブーツとコートを脱ぎ捨てて海に走って飛び込んだら少しはこの現実から逃げれるかもしれない。




そう思いながら空を見ると満月に綺麗な星が宝石箱の中身をひっくり返したように綺麗に光っていた。




目を海に戻すと月が映っていた。ユラユラと波に揺られて揺れている。
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