初恋に捧げる私の恋の歌
「柚莉」




さっき出てきた車が近づいてきて窓が開く。




中には青年が1人。



運転席にも1人座っている。




「よお、直哉(なおや)」




そう言って柚莉先輩はその車に近づいて行く。



関係ない。



そう判断して私は堤防の上から海を見る。




さっきみたいにうるさくないし、明るくない。



静かで、真っ暗で星が綺麗に映っている。



正直早く昨日の場所に行きたかった。



あの、美しい運転をもう一度見たかった。




「愛生」




柚莉先輩に名前を呼ばれて振り向く。




「おいで、車に乗って行くよ」




「え?でも、それ総長さんの車じゃ」





「いいって!」




そう言って柚莉先輩は私の腕を掴むと後ろにいる乗り込む。




奥から総長さん、柚莉先輩、私だ。




「初めまして愛生ちゃん?」




「初めまして」




男の人。




怖いけど、先輩がいるから大丈夫。




「怖がらせんなよ直哉」




「え!?俺なんかした!?」




「あ、いえ、男の人が苦手なだけです」




「そう、ごめんね。じゃあ、今度から少しづつ慣れてもらうよに頑張る!」




そう言って総長さんはニコッと笑った。



普通にイケメンに入る顔立ちをしている。




「俺、龍樹(たつき) 直哉」




「宮園 愛生です。」





「よろしく」そう言って直哉さんが手を出してきたが手は握れなかった。



それでも直哉さんは気にした様子もなく気さくに話しかけてきた。



車はすでに発進しておりもう、バイクのグループに追いついていた。




「あの、前の方に置いてあった黒のバイクって」




「あぁ、あれは特攻隊のバイク。



夜でもバレないようにするために服装も黒だよ黒のパーカーか、黒のライダースーツ」





「昨日、車の間を抜けて言って車を止めた人って」




「あぁ、波留だろ」




「さっきの」




そう言って柚莉先輩を見るとうんと頷く。




「さっきの?」




「人の事情に踏み込むな!」




「イッテェ!」




いきなり直哉さんが足を抑えて痛がりだす。多分柚莉先輩に足を踏まれたのだろう。
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