初恋に捧げる私の恋の歌
私は堤防に戻り座る。
























砂浜




幻想的に見えるものが揃っている。



美しく、夜を飾っている。



帰らないと、明日は学校ないけどずっといたら風邪をひいちゃう。



でも、波留さんと話したことが頭を駆け巡る。




優しく、安心するような声で話しかけてくれた。




他の人とは違い、あの人を見ても不愉快感はなく、逆に少しだけ安心感があった。




もう少し、話したかった。



そしたら、多分もっとあの人に慣れていただろう。




「玖波田 波留、さん」




「なに?」





「へ?」





さっき優しく話しかけてくれた人の名を少しだけ、小さく呟くと後ろから声が返って来た。



後ろを振り向くと無表情でも凛々しさを感じられるような顔が暗闇から浮かび上がる。




「波留さん!?」





「だからなんだよ」




無表情だった顔を少しだけ眉を寄せる。



その姿だけであの男を思い出してもう目が合わせられない。




私がなにも言えないでいると波留さんが私の目の前で座り込む。




距離は1メートルぐらいだろうか。




「ここまで近づいても大丈夫なんだな」





そう言って波留さんが少しだけ口の橋を上げる。




確かに、普通の男だったら怖いはずなのに波留さんだとここまで近づかれても怖くは無い。




「ねぇ、愛生って呼んでいいか?」




「え、あ、」




「あぁ、無理ならいいぜ」




そう言って波留さんは困ったように笑った。





「いえ、大丈夫です!」




波留さんは少しだけ眉をあげて驚いた顔を作った。
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