初恋に捧げる私の恋の歌
「愛生、俺のことも波留でいいぜ」




「え、いや、波留さんは先輩なので」




「え!俺って愛生の先輩なの!?」




「はい、高一です。」




「マジかよ、一つしたじゃん」




そう言って波留さんはさっきより口端を少しだけ大きく上げた。




ハハハッ




笑いが抑えきれずに少しだけ声が漏れてしまう。




「んな、笑うなよ」




「だって、意外だったんですもん」




そう言って波留さんの方をもう一度見ると目があって、本当に優しい目で見てくれていた。




その瞳に見入っていて少しだけ2人の間に沈黙が支配する。




「もう、おせーから送る」




そう言って波留さんが立ち上がる。



私も慌てて立ち上がり一歩踏み出す。




ぐらっと目の前が揺れ目の前に地面が近づいて行く。



あ、怪我する。




と 思った時には地面はもう目の前に




怖くなってギュッと目を瞑る。





しかし、いつまでたっても痛みは来ない。



恐る恐る目を開けると目の前には布生地の感触と真っ黒な闇が見える。




いや、誰かの洋服だ。





「まったく、転んだのになんで手もつこうとしないんだよ」




上から声が降って来て上を見ると波留さんの顔が目の前に。




「大丈夫か?」




そう言って波留さんが私の上半身を持ち抱えて私を座らせる。




頭の整理が追いつかなくてされるがままだ。






「とりあえず、怪我がなくてよかったな」





そう言って波留さんは2、3歩後ろに下がる。
波留さんに、触られた?



でも、怖く無い。
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