自殺カタログ
☆☆☆

家に戻るとお母さんがいる。


お父さんは相変わらず外でフラフラしていて帰っていないけれど、大好きなお母さんがいる事であたしの気持ちは随分と軽くなる。


もうしばらくは一緒にいてくれるそうだ。


「登と涼太に、晃紀と別れるように言われた」


自室で向かい合って座った理央へ向けてそう言った。


テーブルの上にはお母さんが持って来てくれたジュースが置かれている。


「冗談でしょ?」


理央は目を丸くしてそう聞いて来た。


「本当だよ。晃紀とあたしが付き合い始めると、自分たちがクラスで最下位になる。それを恐れてるの」


「だけど、晃紀の告白はあの場のノリだったって雰囲気になってるのに……」


「念のためだと思う」


あたしがそう言うと、理央は大きくため息を吐き出した。


あたしの敵は案外多いのかもしれない。


「ちなみに聞いておくけれど、あの告白は本物だったんだよね?」


理央にそう聞かれて、あたしは頬がカッと熱くなるのを感じた。


真っ赤になっているのが自分でもわかる。


「晃紀に、番号を教えてもらったよ」
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