自殺カタログ
「その気持ちはありがたいけど、俺は別に汚名を着せられた覚えはない」


その言葉の意味を理解するのに少しだけ時間がかかった。


あたしの告白した事を汚名だと思っていないということだ。


晃紀の優しさに心の中がジワリと暖かくなっていくのを感じる。


こんな人がどうして龍輝と仲良くしているのか、とても不思議だ。


「そっか……。でもせっかく持ってきたし……」


「あぁ、そうだな。それなら芽衣の好意だと思って受け取らせてもらうよ」


晃紀はそう言い、カタログを受け取ってくれた。


それを確認したあたしはホッと息を吐き出したのだった。
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