自殺カタログ
それと同時にあたしと理央は目を見交わせた。


光はアンミたちのグループに属しているが、男だ。


男が女性ものの服を注文するなんて、いくらなんでも無理がある。


光はどう返事をしていいのかわからない状態で「え、俺が……?」と、焦っている。


しかし光は晃紀と違い龍輝との交流が乏しく、アンミに気に入られてカースト上位に居られている男子生徒だ。


ここでアンミの機嫌を損ねるようなことはできないはずだった。


「そうだよ。ほら、ちょっとした小物ならメンズ物も扱ってるし」


そう言い、光にカタログを押し付けるアンミ。


光は苦笑いを浮かべてそれを見つめる。


このままではサイン欄に光の名前が書かれてしまう事になる。


一瞬焦ったが、途端にそれでもいいと思えた。


まずは外側が徐々に攻めていくのも面白そうだ。


「書いたよ」


光はカタログの中からどうにかマシな商品を見つけたようで、サインをした。


「晃紀、このハガキをポストに入れといてね」


アンミが光のサイン入りのハガキを晃紀に渡す。


「わかった」


晃紀がそのハガキを受け取り、チラリとあたしに視線を向ける。
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