自殺カタログ
最低な男
月乃がアンミを突き落そうと考えていたというデマはあっという間に広がった。


その場にいなかった晃紀や龍輝の耳にもすぐに入ることになった。


今クラス内の空気を悪くしているのはあたしではなく、月乃だった。


よくもアンミの逆鱗に触れてくれたな。


お前のせいで平和な日常が台無しだ。


せめてこちらにアンミの刃が向かないよう、お前がイジメのターゲットになれよ。


そんな、見えない声が全部聞こえて来るようだった。


もちろん、月乃だって黙っていない。


百花の言った事はすべてデマだとアンミに伝えていた。


だけどアンミはその言葉を信じなかった。


一度裏切られたと感じた心はそう簡単には真実を受け入れない。


月乃の弁解は空しく空中に消えて行くばかりだった。


月乃への態度が一変したまま、放課後を迎えていた。


担任の先生が教室を出ると同時に騒がしくなる。


「理央、今日はどうする?」


鞄を持って席を立つ理央にそう声をかけた。
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