自殺カタログ
自分のせいで光が死ぬということが、まるで夢の中で起こっているかのようなのだ。


「ほらね」


理央の声でハッと我に返った。


病室内では大きな泣き声が聞こえてきている。


死亡を伝えられたのだろう、その場に膝をついて泣き崩れている光の母親が見えた。


「うそでしょ……」


守ってくれるものを失った月乃は唖然としてその場に立ち尽くしている。


「嘘じゃないってば」


あたしの言葉に月乃がゆっくりとこちらを見た。


「なんで、光が死ぬってわかったの?」


その質問に、あたしは理央と視線を見交わせた。


「いい事を教えてあげようか……」


あたしはそう言い、月乃の手を掴んだのだった。
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