自殺カタログ
昼休み
月乃のストリップは先生が入って来たことによって中断された。


あの時の龍輝の表情を思い出すと、あたしでも背筋が寒くなる。


獲物を見る目。


今にも月乃に襲い掛かってしまいそうだった。


あの目を直接向けられた月乃はどれだけ怖い思いをしたことだろう。


だけど、教室に入って来た先生はその事に気が付かなかった。


昨日光が死んだ事を生徒に伝えるため、周囲を確認する余裕がなかったようだ。


その隙に月乃は服の乱れを直し、アンミたちは何事もなかったかのように席についた。


先生が神妙な面持ちで光の死を説明した時はさすがにアンミたちも静かだった。


だけど、月乃へのイジメが収まったワケじゃない。


光の死という暗い気持ちが払拭されたのはあっという間で、昼休憩に入る前にはもうイジメは再開されていた。


「ちょっと、いいか？」


お弁当を広げた状態で今朝の出来事を思い出していると、そう声をかけられた。


振り返ると登と涼太が立っていた。


「今、お弁当を食べてるんだけど」


机に出したお弁当はまだ半分以上残っている。
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