自殺カタログ
「何を言ったのかわからないけれど、月乃は2人のサインをもらったんだよ」


なるほど。


だから月乃はあんな狂ったように浮かれているのだ。


「やった! やった! あたしはやったんだよ!」


月乃は教卓の上で飛び跳ねて喜んでいる。


昨日までカタログの話は半信半疑で聞いていたというのに、今日のイジメだけですっかり信じ込んでしまっている。


藁にもすがる思いというやつだろう。


月乃は今までアンミと仲が良かったせいか、そのイジメ方は最初から壮絶だった。


あたしみたいに悪口から始まったワケじゃなく、最初からストリップをさせられていた。


それを考えると、早い段階で手を打たないと大変な事になる事は明白だった。


月乃もそう考えたのだろう。


「頑張ったね月乃」


あたしは教卓で踊る月乃へ向けてそう言った。


でも……。


簡単にこれを使ってしまうのはもったいない。


月乃はあたしを散々イジメていたんだ。


もう少しくらい、痛い目に合ってもらわなきゃね……?


あたしはそう思い、笑みが浮かんでくるのを必死で殺したのだった。
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