自殺カタログ
「ご……めん……」


あたしは申し訳ない気分になって頭をかきながら謝った。


「見つかったんだから、もういいよ」


理央はフッと表情を緩めてそう言った。


そのかわり、あたしの手を強く握りしめた。


「午後からの体育の授業でアンミたちが何をしてたのか、あたし気が付いたの」


「え?」


思い出して、体中がカッと熱くなるのを感じる。


あんな屈辱を感じたのは産れて初めての経験だった。


「アンミたちは更衣室からなかなか出て来ないし、そこに芽衣も一緒にいるってなったら、もう悪い予感しかしなくってさ。それで思い切って先生に相談して、アンミたちのスマホを確認したんだよ」


そう言われて、あたしは自殺カタログをギュッと握りしめた。


あの画像を見られたかもしれないと思うと、恥ずかしくて悔しくて言葉にできない真っ黒な感情が湧き上がって来る。


「大丈夫だよ、全部消したから。アンミたちは今職員室で先生に説教されている」


「そう……なんだ……」


画像は消えた。


それは嬉しかったけれど、これでアンミたちの反感を買ったことには間違いなかった。


明日からどんなイジメが待っているのか、考えただけでも吐き気が込み上げてくる。
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