自殺カタログ
☆☆☆

月乃がサインをしてくれたハガキは大切に保管していた。


すぐに使うんじゃもったいない。


明日は土曜日で、学校は休みだ。


土日を挟んでいる間にアンミと龍輝は自殺すると、月乃は思い込んでいる。


だからこそ、教室内であんな大胆な事ができたのだ。


だけどあたしはまだこのハガキを使う気はなかった。


月曜日にアンミと龍輝が登校してきたら、月乃はどんな顔をするだろうか?


そう考えると面白くて、使う気にはなれなかった。


あたしは机に向かって月乃があたしにしてきたことを箇条書きにしていた。


・足を引っかけてこかされる


・好きでもない男子に無理やり告白させられて、みんなの前で振られる


・課題を盗まれて焼却炉で焼かれる


・その翌日、上履きを盗まれて焼かれる


この他にも思い出すことは沢山あった。


ルーズリーフ一枚じゃ収まりきらない量だ。


これだけの事をやっておいて、あたしが味方につくなんて本気で信じていたんだろうか?


あたしが月乃に味方になるなんて、絶対にあり得ないことだ。


それなのに、月乃は完全にあたしを信じ切って教卓の上でダンスまで披露していた。


思い出すと、またおかしくて笑えたのだった。
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