自殺カタログ
そう思うと罪悪感なんて湧いてこなかった。


これは当然の報いなのだ。


「月乃、ちょっと話しようか?」


アンミの声には否定を許さない威圧的な感情が込められていた。


月乃が咄嗟に逃げようと身をひるがえす。


しかし、その先には百花がいた。


百花はニヤニヤといやらしい笑顔を浮かべて月乃の行く手を阻んでいる。


「百花、ありがとう」


「アンミちゃんのためなら、このくらいなんてことないよ」


百花はパッと笑顔を花咲かせてアンミにそう言った。


月乃は百花を睨んでいる。


元はといえば百花が適当なデマを吹き込んだのが原因だ。


だけど、それを今更口にしたって逆効果なことくらい、月乃も理解していた。


グッと言葉を喉の奥に押し込めて黙り込むしかない。


そうしている間に龍輝が近づいてきて月乃の手を掴んだ。


月乃はビクリと身を震わせて龍輝を見る。


本当に、恐ろしい魔物でも見るような目を龍輝に向けている。


「話はこれからゆっくり聞こうか」


龍輝とアンミに挟まれた月乃は真っ青な顔をして、教室から連れ出されたのだった。
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