自殺カタログ
アンミは大きく目を見開き、それから「そんなワケないじゃん」と、笑った。


「じゃぁどうしてあたしたちだけ帰らせてもらえないの? 月乃がいたクラスだからじゃないの?」


続けてそう言うと、アンミは笑顔を消した。


困ったような、戸惑っているような表情を龍輝へ向ける。


龍輝は話しを聞いていなかったのか、ボクシングの雑誌を読んでいる。


アンミは視線をあたしへ戻した。


そしてなにも言わずスマホを取り出す。


月乃に電話をかけているようだ。


しかし、繋がらない。


繋がるわけがない。


月乃はもう死んでいるんだから。


何度も何度もかけなおした後、アンミは諦めたように息を吐き出した。


だけどスマホをいじる手は止めない。


なにかを必死に操作している。


その顔はとても真剣だった。
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