自殺カタログ
警察から事情を聞いた生徒の中には泣き出す子も多くいて、教室の中はずっと静かだった。


そんな沈黙を破ったのは龍輝だった。


警察に呼ばれて会議室に行っていた龍輝は顔を真っ赤にして教室へ戻って来たのだ。


大股で歩き、大きな音を立ててドアを開ける。


みんなの視線は嫌でも龍輝へ向けられた。


だけど龍輝は視線なんて気にしない。


ずんずんと進んで行ってアンミの前で足を止めた。


椅子に座っていたアンミは恐る恐る顔を上げる。


「どういうことだよ」


龍輝はそう言い、ポケットからスマホを取り出してアンミの机に置いた。


ゴトリと堅そうな音が聞こえて来る。


アンミは龍輝から視線をそらせて青ざめている。


この2人が険悪なムードになるなんて予想もしなかった展開に、あたしは理央を見た。


理央は首をかしげるばかりだ。


一体2人なにがあったんだろう。


「月乃の写真はお前しか持ってなかったはずだろうが!! なんで俺と百花のスマホにデータ送ってんだよテメー!!」


龍輝が怒鳴り声を上げてアンミの机を殴りつけた。


アンミの体がビクリと震える。


あぁ、なるほど。


アンミは龍輝と百花に昨日のイジメを押し付けたのだ。


あたしはアンミ達にやられてきた事を素直に話したから、そのメンバーたちは執拗に質問を迫られた事だろう。
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