自殺カタログ
そしてあたしの周りには自然と人が集まるようになっていた。


今まではイジメを遠くから見るだけだったクラスメートたちが近づいてくるのだ。


「今までごめんね」


とか


「怖くって、助けられなかったんだ」


と、口々に言ってくる。


あたしはその度に笑顔を浮かべて「大丈夫だよ。あたしたち友達なんだから」と、うそぶいた。


あたしの友達は理央だけだ。


理央だけが、あたしの支えだ。


「芽衣、今日は一緒に帰らないか?」


龍輝と一緒に雑誌を読んでいた晃紀がそう声をかけて来た。


あたしは驚いて顔を上げる。


「この前のチロルだけじゃなくてもっと珍しいお菓子を見つけたんだ」


そう言い、少し照れたように頭をかく晃紀。


そう言えばあの時も晃紀は何か言いたそうだった。


もしかしてデートの誘いだったのかもしれない。


そんなあたしたちをクラスメートたちが羨ましそうに見ているのがわかった。


あたしの立場はもう最下位なんかじゃない。


あたしは満面の笑みを浮かべて「いいよ。一緒に帰ろうね」と、返事をしたのだった。
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