自殺カタログ
自分がこのフェンスを乗り越える時、心の中は絶望感で満たされているのだろうと思っていた。


だけどこうして実際にフェンスを乗り越えてみると、不思議と冷静な気持ちになれていた。


ここから一歩前へ踏み出せばあたしは落ちて死ぬ。


死ねばきっとニュースになる。


昨日の夜に書いて机の中に入れて置いた遺書は色んな人の目に触れて、あいつらがあたしにやって来たことがすべて明るみに出るだろう。


そう考えると久しぶりに楽しい気分になっていた。


あいつらが泣きながら謝罪するのを間近で見る事ができないのが残念だ。


あたしが死ぬことでクラスカーストは完全に崩壊することだろう。


そうなると、あいつらの機嫌を取り持っていた生徒たちは途方に暮れてしまうんじゃないだろうか?


泣きながら、あたしの遺影にすがりつくかもしれない。


良いざまだ。


人がいじめられているのを教室の隅からニヤニヤと笑って見ていたあいつら。


直接危害を加えるワケではないが、いじめの加害者に取り入り、機嫌を取り、そしてイジメの方法を吹き込むのだ。
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