自殺カタログ
見つけた瞬間、アンミが安堵の表情を浮かべて机に駆け寄った。


その瞬間を、あたしはスマホで撮影していた。


机にはしっかりアンミの名前が書かれている。


それを持って驚いた顔を浮かべてこちらを見ているアンミ。


「なに……してるの?」


「撮影。ムービーだから、動いて」


あたしはアンミにそう指示した。


「なんで、そんなことしてんの!」


「月乃をイジメてたって証拠を消すためだよ。アンミは元々イジメられっこだった。だから月乃をイジメてなんてない。そういう筋書きにしておけば、もう先生や警察に疑われる事もない」


あたしは早口で嘘をまくし立てた。


アンミはイジメられっ子で、月乃もイジメられっ子だった。


そしてその主犯格は龍輝と百花。


そういう事にしておけばアンミの立場は安全だ。


と、思わせたのだ。


もちろん、あたしがアンミにそんな優しさを見せるわけがない。


「ほらアンミ、イジメられっ子らしく謝って」


「あ、謝るって?」


「何言ってるの? 散々あたしにやらせてきたじゃん」
< 201 / 311 >

この作品をシェア

pagetop