自殺カタログ
階段を下りて玄関へ向かうと、そこには困った顔をするお母さんとアンミの姿があった。


アンミは制服姿のままだが、顔も髪も土でボロボロに汚れている。


どうやら学校が終わってからイジメられていたようだ。


「アンミじゃん。なにか用事?」


あたしはアンミの血走った視線を受け止めながらそう言った。


「あんたのせいでしょ……」


アンミが低く唸るようにしてそう言った。


「なにが?」


「しらばっくれるな!!」


怒鳴り声を上げて掴みかかってくるアンミ。


お母さんが小さく悲鳴を上げて、アンミを止めようとしている。


このままじゃお母さんを巻き込んでしまう。


そう思ったあたしはサンダルを履いてアンミと一緒に外へ出た。


辺りはまだ明るい。


「芽衣のくせに、あたしをバカにしやがって!」


外へ出た途端、アンミがあたしの胸倉をつかんできた。


だけど全然怖くない。


力だって弱いし、身長だってあたしの方が高い。


少し前まではこんなアンミの事が鬼のように見えていたのだ。


その頃の事を思い出して、あたしは思わず笑ってしまった。
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