自殺カタログ
「なにがおかしいんだよ! 芽衣のくせに……あんたが黙ってイジメられてればこんなとこにはならなかったのに!!」


どうやらアンミはあたしを逆恨みしているようだ。


今までの自分の素行なんて全く記憶になさそうだ。


あたしはそんなアンミを憐れに感じた。


今までクラスカースト上位だったアンミが、ここまで転落してしまったのだ。


心の傷は計り知れないだろう。


「アンミ、落ち着きなよ。ジュースでも奢ってあげるからさ」


あたしはそう言いながら、ポケットの中をまさぐった。


五百円玉と十円玉が一枚ずつ入っている。


家の近くにあるコンビニへ行くには長い石段を上がって行く必要があった。


丘の上に立つコンビニはここからでも見えた。


とにかく一旦家から離れないと、お母さんに余計な心配をかけてしまう。


そう思い、アンミを連れて急な石段を登っていく。


一番上から街を見おろせばそこそこの景色を楽しむことができる石段だ。


普段はこの石段が嫌であまりコンビニにも行かないけれど、今日は仕方がなかった。
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