自殺カタログ
もちろん、会話をしている一時の事だと理解していた。


あたしの話の内容に龍輝たちが驚いたり笑ったりを繰り返す。


それがとても心地いいと感じられた。


チラリと他のクラスメートへ視線を向けると、羨ましそうにこちらを見ているように感じた。


クラスを上から眺めるとこんな感じなのだと、初めて知った。


昨日の出来事をすべて話し終えた頃、あたしはすっかり龍輝たちの打ち解けていた。


「お前のおかげでしばらくあの女を見なくて済むな。サンキュー」


そう言って龍輝はあたしの頭を乱暴に撫でた。


その様子を悔しそうに見ている百花。


だけど百花は何も言えないままだ。


いい気味……。


「よし、芽衣。お前は今日から俺たちと一緒に行動しろ」


不意に龍輝にそう言われてあたしは視線を泳がせてしまった。


あたしは今日からクラスカースト上位者になる。


それほどいい話はなかった。


最下位からの見事な快進撃だ。


なにより、クラス上位者になれば誰のサインだって簡単に貰う事ができる。
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