自殺カタログ
登りつめる
アンミは意識を取り戻したが、足を骨折しているためしばらく学校を休むらしかった。


担任からそんな話を聞いている間、龍輝は興味なさそうにボクシングの雑誌を広げていた。


龍輝の中からアンミという存在は完全に消えてしまっているようだ。


この日を境に、あたしが見ている景色は変わった。


あたしの隣には常に龍輝がいた。


もちろん晃紀たちも一緒にいたけれど、クラス内で一番ひいきされているのはあたしだった。


龍輝にとってあたしがどんな存在なのかわからないが、クラス内で一番のパートナーだと思われていることは確実だった。


あたしはそんな龍輝の話に合わせて相槌をうったり、行動を共にしたりした。


クラスの上位から見える景色は最高だった。


あたしの一挙一動にクラスメートたちが反応し、作り笑いを浮かべ、あたしに嫌われないように必死になっているのがわかった。


だけど、そうなると今度は理央がクラスの最下位になってしまうのだ。


登と涼太が龍輝に上手に取り入った事で、理央は1人なっている。


アンミが教室へ戻って来るまでの間の理央の立場が心配だった。


あたしは何度も理央に声をかけた。


一緒に行動しよう。


あたしから龍輝に説明するからと。


しかし、理央はかたくなにその誘いを拒んでいた。
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