自殺カタログ
またスマホに視線を移動させた。


12時55分。


あたしは立ちあがり、ポストまで移動してきた。


見慣れたポストなのにこの時間に見る妙に恐ろしく見える。


このポストが人の命を奪っているワケでもないのに、バカらしい。


あたしはそう思い直して空を見上げた。


とても綺麗な星空だ。


高い建物に囲まれた空は四角いけれど、確かに星空は存在している。


アンミの家まで通じている星空を見上げたまま、あたしはハガキをポストへと差し込んだ。


時刻は1時になっていた……。
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