自殺カタログ
「お前俺と付き合いたいがために、人の家まで押しかけてきたもんなぁ」


龍輝が過去の出来事を思い出しでニヤリと笑った。


「忘れた」


アンミがそこでようやく声を出した。


龍輝の言葉なんて聞きたくないと言った雰囲気の、強い口調の声だ。


「あぁ? 人の家まで押しかけてきといて、何が忘れただよ!」


龍輝怒鳴るようにそう言うと、アンミの机を思いっきり叩いた。


さすがに、少し叩くだけでその拳の重みがわかるような音が響く。


「忘れた」


アンミの声が微かに震えた。


動揺を隠せていない。


「付き合うキッカケはアンミだったんだねぇ?」


百花が龍輝へ向けて甘えるような声でそう言った。


「あぁ。こいつ、俺の部屋まで押し入ってきやがったんだ」


「えぇ!? アンミって怖い……」


百花が怯えた表情をアンミへ向ける。


「忘れたってば!!」


アンミは百花を睨み付ける。


今更百花の卑怯な性格を目の当たりにしても、もう遅い。


「ほんと、この女はこえぇよ! 俺の女になるために部屋に入ってくるなり服を脱ぎ始めたんだ」
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